泌尿器科とは、血液中のいらなくなったもの(老廃物)を濾しとり、尿としてこれらを排泄する臓器(腎臓・尿管・膀胱・尿道)とその周辺臓器や陰茎・前立腺・精巣などの臓器に関する病気を取扱う診療科です。
主にこれらの臓器に発生する悪性腫瘍(癌)や、前立腺肥大症・尿路結石症・排尿障害・尿失禁などの良性疾患、尿路感染症や性行為感染症、ED、男性不妊などについて治療します。
当クリニックでは、最新の医療機器 膀胱鏡・エコー・尿流量測定装置・CT・X線を駆使して、患者様の状態を確認して、それぞれ患者様に併せた治療をおこない、最善を尽くします。
1. 血尿
「血尿」とは”おしっこに血が混じる”という状態をいいます。目で見て赤い、もしくは黒い、血の塊が出る肉眼的血尿と、目で見ても 分らずに検診で尿に血が混じっていることで分かる顕微鏡的血尿があります。原因としては、腎臓の疾患(ネフローゼや腎炎などの自己免疫や炎症性疾患、腎結石、腎臓の腫瘍など)、尿路(尿の通り道)の疾患(尿管結石や腎盂腎炎、膀胱炎、腎盂・尿管・膀胱腫瘍など)などがあります。尿路結核も忘れられがちですが血尿をきたす疾患としては重要です。炎症や結石による血尿は基本的には痛み(背中やわき腹の痛み・下っ腹の痛み・おしっこをする時の痛み等)を伴いますが、腫瘍性のものは痛みのない場合が多いので注意が必要です。ただ痛みがあっても、なくても腫瘍や重大な病気が隠れている可能性があるため受診ください。血尿と蛋白尿が合併することも多く、健診や人間ドッグで血尿・蛋白尿を指摘された場合も当院を受診ください。
2. 蛋白尿
「蛋白尿」とは”おしっこにタンパクが混じる”という状態をいいます。運動のし過ぎ・発熱・体勢により尿にタンパクが混じる良性蛋白尿と、腎臓疾患や高血圧・糖尿病などの全身疾患などにより腎障害をきたして尿にタンパクが混じる病的蛋白尿があります。病的タンパク尿の場合は時間の経過とともに末期腎不全となり、最終的に血液透析になる可能性があるため受診ください。蛋白尿と血尿が合併することも多く、健診や人間ドッグで蛋白尿・血尿を指摘された場合も当院を受診ください。
3. おしっこが出にくい、おしっこが出ない、おしっこの回数が多い、おしっこが漏れる
男性が高齢となってきたす病気に多いのが『前立腺肥大症』や『前立腺癌』があります。
『前立腺肥大症』ではおしっこが出にくい・昼や寝ている間におしっこの回数が増える、間に合わずおしっこが漏れるなどの症状が起こります。
『前立腺癌』は50歳を超えると増え、初期には何の症状もないことが多い特徴があります。進行してくると前立腺肥大症状が出てきたり、骨に転移すると骨折したり、骨に痛みが出てきたりします。前立腺肥大症と前立腺癌は合併することも多く、血液検査(PSA検査)・超音波検査・おしっこ飛ばし検査(おしっこのスピードをはかる検査)・CT検査を行い早期診断します。治療としては薬物や手術治療を行います。
女性の出産後に多い尿失禁に『腹圧性尿失禁』があります。出産により骨盤底の筋肉が緩むために起こるといわれています。薬物療法と骨盤底筋運動で改善なければ手術をお勧めします。
またおしっこをする時やうんちをする時に会陰部に何か触れることがあれば『骨盤臓器脱』を疑います。
男性、女性にも起こる病気として『過活動膀胱』があります。
『過活動膀胱』は
「急に我慢できないような尿意が起こる」
「トイレが近い」
「急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある」などの症状を示す病気です。
最近の調査で、とても多くの方がこの病気で悩んでおられます。40歳以上の男女の8人に1人が、過活動膀胱の症状をもっていますがこの病気も年齢とともに多くなります。患者さんの数は、800万人以上おられます。この中で、切迫性尿失禁がある人は、約半分でした。いろんな原因で起きる病気ですのでぜひ当院を受診ください。効果のある薬がたくさんあります。
脳梗塞・脳出血・脊髄の病気・最近多い糖尿病によって脳や脊髄などの中枢神経、末梢神経が障害されることにより、
もおしっこが出にくい、
おしっこの回数が多い、
おしっこが漏れる、熱が出る、
おしっこする時に痛いなどの症状が出ることがあります。
このような状態を神経因性膀胱と言います。神経因性膀胱の場合に最も大事なことは残尿がない(おしっこをした後に膀胱におしっこが残っていない)ことが大事であり、残尿が多いと尿に細菌が繁殖し発熱したり、腎臓からおしっこが流れなくなって水腎症になり発熱や・腎不全をきたします。薬物治療で軽快しない場合は自己導尿やカテーテル留置が必要になります。
4. おしっこをする時の痛み
女性に多い膀胱炎(単純性)、小児・幼児に多い亀頭包皮炎、神経因性膀胱や尿路奇形に合併する尿路感染(複雑性)、青壮年以降の男性に起こる性行為感染症(いわゆる性病、尿道炎)等があります。
5. 発熱
乳幼児期の男児・女児では膀胱尿管逆流症、青年期以降に多い腎盂腎炎(背中が痛い、38度以上の高熱が出るなど、尿管結石・尿管腫瘍が原因のことがある)、男性に多い急性前立腺炎や急性精巣上体炎(尿道にカテーテルを留置している、導尿をしている、性病から2次的に起こるもの、尿路奇形によるものなど)があります。命にかかわることもあり受診ください。
6. 陰嚢内容の腫脹(睾丸の腫れ)
痛みがない睾丸の腫れがある場合は、睾丸腫瘍を疑います。
採血やレントゲン検査を行い、患側の睾丸を摘出し病理診断(顕微鏡で組織確認する)を行います。病理組織や病期により治療法を決定します。治療の進歩により治癒率が高くなっています。
ムンプス睾丸炎は痛みが伴う睾丸の腫れをきたします。患者の飛沫を吸い込んだり、患者の唾液で汚染されたものと接触することで、体内にムンプスウイルスが侵入することで感染が成立します。2週間の潜伏期間の後、筋肉痛、食用不振、気分不快、頭痛、悪寒、微熱などの症状が出ます。これらの症状が約1日続き耳下腺炎の症状が出現し、共に39.5度から40度の発熱が見られ、耳下腺の腫脹がピークを迎えます(おたふく風邪)。思春期以降では、男性の約30割に精巣炎をきたし、女性の約1割弱に卵巣炎を合併し不妊症の原因の一つになるため注意が必要です。先ほど述べた急性精巣上体炎も痛みが伴う睾丸の腫れをきたします。
お腹の筋肉が弱くなって左右の下っ腹や陰嚢内に腸やお腹の中の脂肪が出てくる鼠経ヘルニアという病気もあります。この場合は修復術が必要なこともあります。
7. 尿路結石(腎結石・尿管結石・膀胱結石)
患者さんの数が多い病気の一つで10人に1人ぐらいは生涯に尿路結石になるといわれています。
カルシウム結石が多く、これにはシュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムがあり、尿路結石の80%以上を占めます。
これ以外では、痛風の原因である尿酸結石や、感染尿にできやすいリン酸マグネシウムアンモニウム結石(MAP結石)、アミノ酸の一種であるシスチン結石などがあります。
この結石が尿管を転げ落ちてくると腰や下っ腹の激痛が走ったり、血尿が出たり、嘔吐したり、腎盂腎炎になって高熱が出ることがあります。結石が自然排石すればいいのですがずっと尿管内にとどまっていたりすると腎臓の機能が落ちたり命の危険があるため治療が必要です。
原因としては60%が原因不明で、数%が遺伝性です。残りが何らかの原因から結石を形成する続発性の状態です。例えば寝たきりの人、尿路感染、ステロイド剤を長期に内服している患者さんなどです。約半数は再発するため尿路結石がなくなったり、痛み・血尿がなくなったとしても必ず受診してください。
8. 夜尿症
子供さんのおもらしもご相談ください。
9. 自費診療
バイアグラ・レビトラ・シアリスなどのED治療薬も自費で処方いたします。